移住で古民家暮らし!物件の選び方と注意点を解説

移住して古民家暮らしを考えるなら、物件選びのほかに、どんな地域でどんな暮らしがしたいかを明確にしておくことが大切です。
この記事では、自分に合った古民家暮らしを実現するために考えるべきことや、物件を決める際のチェックポイントを紹介しています。 

古民家暮らしが注目されている理由

古民家暮らしが近年注目されているのは、コロナ禍をきっかけに地方移住への関心が高まったのが大きな理由です。

総務省の調査によれば、コロナ禍で20〜30代を中心に地方への移住希望者が増えていることが分かっています。※

さらに企業側のテレワーク制度が整ったことで、在宅のまま仕事ができるようになったことや、通勤時間がなくなって自分の時間を有効に使えるようになり、自然豊かな場所で過ごすことを選ぶ人が出てきているようです。

独特の風合いと優しい温もりが感じられる古民家での暮らしは、豊かな自然や季節の移り変わりを感じながら、日々を過ごしたい方におすすめです。

・参考ページ>>総務省「「地方への人の流れの創出 」に向けた効果的移住定住推進施策事例集

古民家暮らしを叶えるための注意点

理想的な古民家暮らしを叶えるには、物件を探すだけでは十分とは言えません。

まずは、古民家暮らしを実現するために注意したいことを紹介いたします。
古民家を選ぶときのチェックポイントは後半でまとめていますので、合わせて参考にしてみてください。

何のために移住するのかを考える

まずは「自分が移住してどんな暮らしをしたいのか」といった、具体的な目的を持ちましょう。
古民家での暮らしは都心とは大きく変わるため、漠然としたイメージだけでいると、実際に住んでギャップを感じてしまうこともあります。

移住にあたって叶えたいことや譲れないことを明確にしておくことで、移住先や住居選び、そして移住してからも戸惑うことが少なくなるでしょう。

  • 海や山の自然を身近に感じたい
  • 伝統工芸品や歴史のある文化にもっと触れない
  • アクティビティをもっと楽しみたい
  • 採れたての新鮮な食材を楽しめる生活がしたい
  • 地元の人と交流してみたい

など、移住先で叶えたい理想の生活を可能な限り具体的にイメージし、それを実現するためにはどのような地域が適しているかの情報収集を行いましょう。

・関連記事>>>田舎暮らしの魅力とは?移住に際しての注意点も併せて確認

自分にとって長く住みやすい地域を選ぶ

古民家暮らしをする上では、自分が暮らしやすい地域を選ぶことも重要です。

とくに、古民家が多く残る地方は都心部と違い、地域の人々との交流が暮らしやすさにつながります。
例えば都心では、食材はスーパーで買う、住居の修理は工務店に依頼するなど、お金をかけることで、一つひとつの問題を解決したり、欲しい物を手に入れたりする生活が一般的です。

その反面、地方に行くと、近所の方が食材をお裾分けしてくれたり、ちょっとした修繕をしてくれたりと、お互いに助け合って暮らしを支えています。

このように助け合いながら暮らすには、地域の持つ文化や風習を尊重し、地域の交流に参加することも大切です。
そのため古民家の購入を考える際は、実際に希望する地域へ足を運んで、まず現地の方々と交流をもってみるといいでしょう。

関連記事>>>移住先の決め方とは?移住先を探す際のチェックポイントを解説

古民家での暮らしぶり

都心のマンションでの生活から古民家に来ると、ライフスタイルは大きく変わるでしょう。
仕事はリモートワークでこれまで通りこなしながら、プライベートは自然の中でリフレッシュしたり、広々とした部屋で趣味に没頭したりと、自分の時間をより充実させることができます。

また、古民家に移住することで日々の生活が変わる方も多くいます。
例えば、都心に住んでいた頃は料理は一切せず、外食がメインだった人が、地方に移住してからはその地で採れる新鮮な食材を使って自炊をする機会が増えた、といった具合に今までとは違うライフスタイルに変化するケースなどがよくあります。

移住をきっかけにライフスタイルが変わったり、自分の人生観が変わったりと、都会にいたままでは起こらなかった変化が自分の中に起こることがあるのです。

古民家に住むメリット

古民家は、現在の住宅と作りが大きく違います。
ここでは古民家の特徴からみるメリットを紹介します。

古民家ならではの温もりを感じられる

古民家には、長年にわたって培われた木の温もりがあります。

半世紀以上そびえて馴染んだ柱の古傷や、黒くなった木肌の風合いは、最近の建築様式を採用している住居では、なかなか再現することが出来ない独特の趣を見せてくれます。
そうした建築素材の味わいが感じられる空間のおかげで、家にいながら自然を身近に感じることが出来ます。

部屋数が多くて広い

古民家は現代住居と比べて部屋数が多く、4帖以上のスペースが10部屋近くある古民家も珍しくありません。

都心のマンションに住み慣れていると、使い道に迷ってしまうかもしれませんが、仕事とプライベートを部屋ごとに分けやすい、収納場所に困らないなどといったメリットがあります。仕事部屋では集中し生産性を高め、他の部屋では景観や趣味を存分に楽しむといった、贅沢な使い分けができるのも魅力です。

安く購入できる

築年数が古い古民家は、新築や築浅の住居よりも安く購入できます。
さらに自治体によっては補助金制度があるので、上手に活用すると移住にかかる費用を抑えられます。

耐久性が高い

古民家のような伝統的家屋は、釘を使わず柱や梁をはめ合わせて作られており、作りが頑丈です。
また古民家で使われる建材は、数十年の時間をかけた自然乾燥状態にあり、高温短時間で乾燥させる現代の建材と比べて、強度が高くなっています。

古民家に住むデメリット

築年数が古い古民家には、いくつかのデメリットもあります。
ただし、これらはリフォームで改善できる可能性があるので、あくまで物件を決める際の参考にしてみてください。

耐震性が低い

古民家は50年以上前に建てられているので、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。
建材が頑丈でも、家全体の耐震性が十分とは言いきれません。そのため、耐震補強の工事も移住と併せて検討する必要があります。

断熱性が低い

古民家は、現代の住宅と比べると断熱性は低く、とくに冬は隙間風から寒さを感じやすいです。
耐震性や断熱性を担保するためにリフォームをするとしても、地域の土地環境や気候によって変わるので、地域密着型の工務店に直接相談するのがおすすめです。

大幅なリフォームが必要になる可能性がある

古民家は購入金額がリーズナブルな反面、経年劣化や使いやすさに合わせて大幅にリフォームが必要な場合もあります。

前述した耐震性や断熱性といった観点のリフォームだけでなく、水回りが使いにくかったり、間取りが生活スタイルに合っていなかったりと、様々な不便な点が出てくるでしょう。古民家で長く暮らすことを想定し、大幅なリフォームも検討している場合は500-1,000万円程度の費用がかかることも想定しておきましょう。

古民家の購入方法

古民家を購入するには、不動産会社を使う方法と自治体の空き家バンクを活用する方法があります。
自分にとって最適な物件を探し、購入に至るまでの具体的な方法を紹介します。

インターネットで物件を探す

古民家は一般的な物件と同じように、インターネットの情報収集が可能です。

中には古民家を専門に扱う不動産会社もあり、全国の物件情報を比較検討するのにおすすめです。
後述する空き家バンクを利用するより、不動産会社を利用すると仲介手数料が発生する分購入時のコストは高くなります。

しかし、売り主と自身の仲介を最後まで担ってくれる点では、不要なトラブルを防ぐ意味でも、安心を買うと捉えることもできるでしょう。
大手の不動産会社であれば掲載物件数が多いため、豊富な選択肢の中から気に入ったものを選べるでしょう。

古民家を専門に扱う不動産会社であれば、そこで働くスタッフ自身が古民家や田舎での暮らしに精通している可能性が高いため、選ぶ基準や生活について、具体的なアドバイスを得られることもあります。

空き家バンクを活用する

古民家の場合は、自治体の空き家バンクを活用して物件を探すこともできます。

空き家バンクとは、地方の古民家など空き家の活用を目的として、政府が立ち上げた制度です。
利用希望者は、空き家バンクに紹介されている物件一覧から、購入したい物件を閲覧できます。

空き家バンク利用の流れとしては、まずはサイト上で物件を探し、目当ての物件が見つかれば空き家バンクに利用希望の登録を行います。
その後現地で物件の見学を行い、気に入れば購入手続き、となります。

空き家バンクは利用者と所有者が直接やり取りをするため、不動産手数料がかからないメリットがあります。
また自治体への相談や所有者との交渉を通じて、現地暮らしのイメージを固めやすくなるでしょう。

他方、不動産会社を利用するときと異なり、自らオーナーと交渉を行わなければならない点には留意しておく必要があります。
不利な条件を鵜呑みにし契約してしまうことがないよう、事前に不動産売買に関する知識は身につけておきましょう。

※参照元>>>中能登町空き家バンク

古民家を選ぶ際のチェックポイント

最後に、実際に古民家を確認する際にチェックするべきポイントを紹介します。
住みやすさやリフォーム費用に大きく関わるので、参考にしてください。

建物が傾いていないかどうか

古民家を選ぶときは、住居が傾いていないかを確認しましょう。

住居が傾く原因は、自然災害や地盤の構造、家屋の作りなどがあります。
現在の住宅では、事前に地盤調査したうえで必要な補強を施しますが、古民家はそういった調査がされていないこともあるため、事前の確認が欠かせません。

屋根や床などの素材が傷んでいないか

古い家では、建材が傷んでいることがあります。

柱や梁にシロアリがいないかや、雨漏りの有無、屋根が歪んでいないかなどを確認しましょう。
地元のリフォーム会社に家屋の性能診断を依頼したり、可能なら下見の際に所有者に立ち会ってもらいながら、老朽化した部分を点検したりするといいでしょう。

隙間風の有無

古民家は断熱性が低いことが多いです。とくに冬は隙間風が入り、かなり寒く感じます。

リノベーションするには、隙間風が入りやすい場所を確認し、床、壁、天井に断熱材を入れる、二重窓にして熱が逃げるのを防ぐなどの方法があります。
中には、薪ストーブを取り入れて、暖をとりながら趣を演出するといった上級者もいるようです。

水まわりに問題がないか

住居の水まわりが問題なく使えるか、必ず確認しましょう。

古民家に関わらず、一般的に中古住宅を購入した方は、キッチンや浴室、トイレ、洗面所などの水まわりを補修したりリノベーションしたりする方が多いです。
さらに古民家の場合は、水道配管や家庭の汚水を浄化する浄化槽が経年劣化していることがあるので、合わせてチェックしましょう。

配管が劣化していると、漏水の原因になります。
漏水の有無を確認するには、家の水道の蛇口を締めた状態で水道メーターのパイロットがまわっているかを確認しましょう。
もし漏水が見つかったら、自治体の指定工事店に修理依頼をします。

浄化槽は、使用前に自治体への届出と保守点検が必要です。自治体の窓口に問い合わせて、必要な手続きと点検を済ませましょう。

自治体によるサポートの有無

自治体によっては、住居購入などへの助成金やサポート制度があります。

具体的な内容や金額は自治体によりますが、空き家をリフォームするための助成金や、他の町からの定住者に対する奨励金、移住を検討している方への短期間住居貸し出し(移住体験支援)などをサポートしているところが多いです。

実際に石川県羽咋市では、空き家を活用した移住体験プログラムを移住検討者向けに提供しています。このプログラムでは、実際に最大5日間の利用期間の中で古民家暮らしを体験できるだけでなく、農業体験なども可能で、移住後の暮らしを実際に肌で感じることができるため、まず現地の生活・文化に触れてみたいと考えている方におすすめです。

・参考ページ:「羽咋市移住体験の案内

また空き家バンクを活用しようと考えている方は、自治体に問い合わせる際に、一緒に相談してみるといいでしょう。

・関連記事>>>移住支援制度とは?申請手順や注意点について解説!

入念に情報収集をしましょう

古民家暮らしを考える方は、まずはインターネットでの入念な情報収集が大切です。
また同時に、自分が移住先で何をしたいのか、できるだけ明確にしておきましょう。

実際に足を運び、自治体や地域の人々に直接相談することで、移住先での生活スタイルが具体的にイメージしやすくなります。
記事を参考に、是非自分に合った古民家暮らしを考えてみてください。
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