子育て移住をする前に知っておきたいメリット・デメリットを紹介

自然豊かな地方で、子育て移住を検討している方も多いのではないでしょうか。実際、幼少期における環境が子供の発育に大きな影響を及ぼすことが、さまざまな研究で証明されています。

そこで本記事では、子育て移住のメリットやデメリット、移住先で利用したい制度や子育て移住におすすめの地域を紹介します。移住が注目を浴びている昨今、家族が心豊かに幸せな暮らしができるよう、知識を深めて後悔しない子育て移住をしましょう。

子育て移住を選択する人が増えている理由

近年では、子育てのために移住を選択している人が増えています。

  • 子供を育てる環境を変えたい人が増えたため
  • テレワークが普及し好きな場所で働ける人が増えたため

それぞれの理由について見ていきましょう。

理由①子供を育てる環境を変えたい人が増えたため

子供を持つ家庭の中には、赤ちゃんが生まれたばかりの頃は都市に住んでいても、子供が成長するにつれて自然豊かな田舎で育てたいと考え、移住を検討する親が増えています。

また、親自身が田舎で育った経験から、子供にも同じような環境で成長させたいという願いを持つ人も少なくありません。

理由②テレワークが普及し好きな場所で働ける人が増えたため

子供が保育園や学校に入る際に、他の県や地域に移住することを検討する家族もいます。

その理由として、子供が学校に在籍している途中での転園や転校よりも、移住と同時に新たな保育園や学校に入園・入学することが、子供にとって負担が少ないと考えられているためです。

また、子供の不登校や学校への登校に問題を抱えている場合、状況を改善するために移住を検討する家族もいるでしょう。

近年では、企業がリモートワークを積極的に導入しており、通勤が必要なくなった人々が増えています。そのため夫婦で子供を連れて田舎に移住し、リモートワークを通じてどこからでも仕事ができるという選択肢を採る人々も増えています。

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子育て移住のメリット

子育て移住のメリットは大きくわけて以下の通りです。

  1. 待機児童問題が少ない
  2. 生活にかかるコストを抑えられる
  3. 子供が安心して遊べる場所が多い
  4. 自然の中で健康的に子育てできる

まずは、それぞれのメリットについて確認していきましょう。

メリット①待機児童問題が少ない

保育園の待機児童問題は、以前に比べて改善傾向にはあるものの、全国的にはいまだに解決されていません。特に都市部では、共働きの家庭から「保育園に入れない」という声がよく聞かれます。

一方で地方では子供の人数が少ないため、都会に比べて待機児童の問題は少ない傾向にあります。そのため、共働きの世帯では安心できる状況といえるでしょう。

メリット②生活にかかるコストを抑えられる

移住の理由は多岐にわたりますが、「生活にかかるコストを抑えられる」という点も共通していえます。もちろん居住地によりますが、一般的に大都市のような場所に比べて地方は住宅費が安く、総合的な生活費の削減が可能です。そして、節約した分を子供の教育に充てることができるため、より豊かな子育てができるでしょう。

また、地方では地元産の食材が豊富で、その土地ならではの特産品が数多く存在します。食育の観点からも、地元で採れた新鮮な食材を摂ることが、子供の成長にプラスの影響を与えることはいうまでもありません。さらに、地方では地元産の新鮮な食材が、都市では考えられないほどリーズナブルな価格で市場で販売されています。

メリット③子供が安心して遊べる場所が多い

地方に住むことのメリットのひとつは、子供たちが安全に遊べる場所が豊富であることです。都会では交通量が多く、交通事故のリスクが高まります。また、遊び場が限られており、公園でのボール遊びが禁止される場所も少なくありません。

さらに都会の公園では子供たちが多く、遊具を楽しむのが難しい場合もあるでしょう。その点地方では、まだまだ広い遊び場があり、自然環境を活かした公園や広場でボール遊びを楽しめます。

メリット④自然の中で健康的に子育てできる

大自然の中での子育てには、山遊びや川遊びなどの貴重な体験を通じて、子供たちに良い影響をもたらすことが大きなメリットといえるでしょう。

研究によると、幼児期の自然体験活動は運動能力や体力を高め、健康的な生活習慣を身につける傾向があるといわれています。

子供たちは周りの環境を気にせずに遊び、同時に自然に触れることで、豊かな経験を積めます。そして大人たちも、山や海といった自然環境を身近に感じることで、心と体をリフレッシュすることができるでしょう。

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子育て移住のデメリット

子育て移住には、以下のような留意すべきデメリットもあります。

  1. 教育や習い事の幅が狭まる
  2. 公共交通機関が少ない
  3. 医療機関が少ない
  4. 大型の商業施設が近場にない

それぞれのデメリットについて確認していきましょう。

デメリット①教育や習い事の幅が狭まる

地方や田舎に住む場合、学校の数が都市部と比べて少なく、進学先の選択肢が限られることがデメリットとされます。また、中学受験や一貫教育の私立学校が少ないため、学校教育の環境面では都会の方が有利だといえるでしょう。

また、子供が大学や専門学校に進学する際、都市部へ進学する可能性もあるため、仕送りなどの経済的負担を考慮する必要があります。

子育て移住を検討する際には、将来の教育環境や進学先などを考慮することも重要なポイント。都市部に比べて習い事や塾の施設が少ないこともあり、遠出や送り迎えが必要な場合があることも留意すべき点です。

ただし近年ではオンラインでの習い事の利用もできるため、そのようなシステムを活用するのも良いでしょう。

デメリット②公共交通機関が少ない

田舎や地方では、主要な移動手段として車の移動がメインとなります。公共交通機関はありますが都市部と比べると運行本数が少ないため、近場の外出でも長距離の移動でも計画的な時間配分が重要です。

また、一部の地域では、バスや電車などの公共交通機関が限られていることもあるため、移住先を選ぶ際には車の必要性や公共交通機関の提供状況をよく調査しておきましょう。

デメリット③医療機関が少ない

都会に比べると、医療機関の数が少ないことがデメリットです。特に夜間に健康問題が発生した場合、都市部のような夜間診療所が近くにない可能性があるため、移住前にその点を想定しておくことが大切です。

また、大きな病院は都市部に集中しているため、田舎に移住する場合、緊急の医療が必要な場合には都市に比べて不便だと感じることもあるでしょう。そのため、最寄りの医療機関までの所要時間や、その施設の設備や提供するサービスなどを十分に調査し、移住の際には慎重な検討が必要です。

デメリット④大型の商業施設が近場にない

子供が小さいうちは近所の公園や野外での遊びが楽しいですが、成長するにつれて、遊園地や水族館、動物園などのアミューズメント施設に行きたいといわれるかもしれません。

しかし地方に住んでいる場合、大型の商業施設に行くには車を使っても時間がかかる場合があります。日帰りでの訪問が難しい場合もあるため、家族で楽しむためには宿泊を検討するケースが増えるでしょう。

移住先で利用したい制度

各地方自治体は、子育て支援に力を入れており、移住者に対して様々な支援プログラムを提供しています。具体的な支援内容について以下の5つのポイントについて説明します。

  • 出産や子育てに関する支援
  • 子供の医療費の助成
  • 学校の給食費支援
  • 習い事に関する支援
  • 移住費用の補助

制度の詳細については、各自治体のホームページや電話にて確認してください。

出産や子育てに関する支援

出産時に出産祝い金や記念品を贈呈している自治体があります。

出産祝い金の金額や支給条件は自治体によって異なります。例えば、兄弟の有無で金額が変わったり、第2子以降の出産に限定されたりすることもあります。また、現金ではなく地域で利用できる商品券が提供される場合もあるなどさまざまです。

なかには、出生届を提出した際に特産品で作られたよだれかけや、写真立てなどの記念品をもらえる自治体も。ただし、記念品は毎年異なることがあるため、先輩ママから聞いた情報が実際には別の記念品になっているかもしれません。

出産時の支援制度は自治体ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

子供の医療費の助成

乳児医療制度は、保険診療の費用を助成してもらえる制度ですが、内容は自治体によって異なります。

例えば、1ヶ月の負担上限が500円であったり、入院の場合には1,000円が上限であったり、少しの違いがあるでしょう。また、高校生まで無料で保険診療が受けられることや、妊娠5ヶ月の胎児から乳児医療制度が提供されることもあります。

また、予防接種に関しても自治体によって無料で提供されるワクチンが異なるため、子供の健康を維持するためには、必ず移住前に確認してください。医療制度に関する詳細情報は、移住前に調査しておくことがおすすめです。

学校の給食費支援

学校給食費を全額負担している自治体もあります。

令和3年度時点での文部科学省の調査によれば、小学校の給食費の平均月額は約4,500円であり、中学校では約5,100円と報告されています。中学校の給食費の平均を年間に換算すると、約60,000円になり教育費の中で大きな負担です。

学校給食費の完全無償化を実施している自治体はまだ数が少ないですが、少しでも負担を軽減したい場合、移住先の実施状況を確認してみると良いでしょう。

習い事に関する支援

私営の塾に通うことは高額な費用がかかり、家計に負担がかかります。しかし、学習の機会を逃さないために一部の自治体では、公営塾として学習支援を提供。特に、ひとり親世帯などで子供の学習サポートが難しい家庭を重点的に支援しています。

公営塾では学習だけでなく、習字や料理などのスキルも身につける機会を提供しており、子供の成長を支えるプログラムも取り入れられていることが特徴です。

移住費用の補助

地方自治体では子育て世代だけでなく、地方への移住を積極的に支援しているところが多くあります。

一部の自治体では、移住に関連する費用の一部(引っ越し費用、移動にかかる交通費、公営住宅の家賃補助など)を助成している場所もあります。

また、移住についての相談にも対応しており、サポートが充実している自治体へ移住をすることで、移住後も快適に過ごせるのではないでしょう。

子育て移住を上手に進めるためのコツ

子育て移住を円滑に進めるためには以下の3つのコツがあります。

  1. 移住先の周辺環境を把握しておく
  2. 地方の暮らしを理解する
  3. 新しい環境に適応する

それぞれのコツについて見ていきましょう。

コツ①移住先の周辺環境を把握しておく

移住先では、公共施設や病院、スーパーなどが不足している場合があります。病院や公共施設などが遠くにあり、子供が体調を崩した際に迅速な対応が難しいケースもあるでしょう。

移住先の公共交通機関や福祉施設、公共施設などについて、事前に調べてから移住計画を立ててください

コツ②地方の暮らしを理解する

地方での子育てにおいて注意すべきポイントのひとつは、都心と比べて環境が充分でない場合があることです。

地域によっては公共交通機関の本数が少なく、車の利用が不可欠となることがあります。そのため、運転免許を持っていないか、ペーパードライバーだと、移住地での生活で苦労する可能性もあります。

ただし、全ての地域が利便性に欠けるわけではありません。都心部と同じくらいの生活が送れるエリアもあるため、移住前にしっかりと調べておきましょう。

コツ③新しい環境に適応する

新しい環境への適応は、大人でもストレスを感じることがあります。それは子供たちにとっても転園や転校などがストレスの原因となることがあります

新しい土地や人々との出会いに対する不安から、なかなか適応できない場合もあるかもしれません。特に子供がストレスを感じていたら家族でしっかりとサポートし、新しい環境に適応していくことが大切です。

また、タイミングも良く考えてから移住してください。例えば、小学校入学と同時に移住すれば、周囲の子供たちも新しい環境への適応を同時に経験するため、比較的馴染みやすい状況となるでしょう。

子育て移住におすすめの地域

ここからは、子育て移住におすすめする地域を紹介します。

  • 静岡県
  • 北海道
  • 千葉県
  • 神奈川県
  • 石川県

それぞれの特徴について説明するので、移住先選びの参考にしてください。

静岡県

静岡県は積極的な子育て支援を行っており、Twitterやブログを通じて子育てに関する情報を発信。さらに、YouTubeでプロモーションビデオを公開しています。

また、静岡県は他の自治体と比較すると、不妊治療の支援が充実している特徴があります。所得にかかわらず補助が受けられたり、さまざまな種類の治療に対する助成が提供されたりするため、多くの人が不妊治療を受けやすい環境が整っています。

さらに、静岡県は特急や東海道新幹線が通っており、月に数回の通勤で都心との往来が可能です。そのため、都市の職場を辞めずに地方での生活を楽しめます。

北海道

北海道には、地方だからこその魅力が豊富です

子育てにおいて最も大きなメリットなのは、自然に恵まれた環境での子育てができることではないでしょうか。北海道は広大な自然が魅力的で、地域ごとに異なる自然の特色があります。

さらに、降雪が多い地域ならではの楽しみ方もたくさんあります。ウィンタースポーツやさまざまなアクティビティが楽しめることで、都市部では得られない体験ができるでしょう。

北国での生活には独自の対策や工夫が必要ですが、移住を支援する自治体や地域の人々からのサポートも受けられることもあります。移住に不安がある場合は、まずは移住体験などを検討してみることをおすすめします。

北海道内でも積雪量の少ない地域や気候に適した地域があるため、事前に地域の特性を詳しく調査しておくことが大切です。

千葉県

千葉県は、地方の魅力を存分に楽しむことができ、さらに都心にもアクセスが便利なため、移住に適した地域です。エリアによっては、東京駅までわずか20分ほどでアクセスでき、都市との接点が強いベッドタウンとして発展しています。

千葉県はひとり親世帯を支援する取り組みが充実しており、特定の条件を満たす場合、子供だけでなく親の入院費用も自治体が負担してくれることもあります。

また、仕事などの都合で子供の世話をする人がいない場合、事前に申請をすれば、一時預かりが利用できる施設も利用が可能です。

特に浦安市は子育て家庭に人気があり、多くの公立幼稚園や図書館が整備され、教育に力を入れています。

さらに、広大な公園が点在しており、子供たちが楽しく遊びながら健全な成長をサポートする環境が整っていることも魅力的だといえるでしょう。

神奈川県

神奈川県も千葉県と同じく都心に近く、都会の利便性と地方の魅力を同時に楽しむことができる魅力的な地域です。

さまざまな自治体で子育て支援制度が整備されており、乳児医療制度はもちろんのこと、多胎児の妊娠時のサポートや、家賃補助制度を利用できる地域もあります。

また、待機児童の問題が比較的少ない地域が多いのも特徴のひとつ。例えば、横浜市青葉区ではさまざまな対策が実施され、令和3年4月1日時点で待機児童がいない状態を実現しています。川崎市でも2年連続で待機児童がゼロとなるなど、各自治体で積極的な取り組みが行われています。このように神奈川県では、便益性と子育て支援の充実が充実している地域です。

石川県

幸福度ランキングで全国3位の石川県は、加賀百万石の文化が根付いた金沢、世界農業遺産として認められた自然が豊かな能登、そして白山の自然とものづくり、そして温泉で知られている加賀など、個性豊かな県といえます。

その中でも能登地域では、子育てに理想的な環境とサポートが整っています。世界農業遺産の里山・里海による自然が豊かである一方で、公園、図書館、病院、スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストアなどの公共施設や便利な店舗も充実しており、まさに「ほどよい田舎」といえる環境です。

また、新生児を持つ家庭には経済的な手厚い支援が提供され、保育料の負担も軽減されています。世帯状況によっては、保育料が無料になる場合もあります。

さらに、七尾市、羽咋市、中能登町では、18歳未満の子供の医療費が無料となり、子育て家庭にとって生活しやすい地域です。

なお、能登地域では待機児童問題はほぼ存在せず、ファミリー・サポート・センターや放課後児童クラブなどの設備とサポートも充実しています。幼児から児童まで、どの年齢の子供でも安心して預かってもらえる体制が整っているため、仕事と子育ての両立が可能です。

子育て移住を検討するなら支援制度をチェック!

今回は、子育て移住のメリットやデメリット、移住先で利用したい制度や子育て移住におすすめの地域を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

自然に囲まれながら、のびのびと子育てができる地方への子育て移住はおすすめです。ただし、どのような子育てがしたいのかによって、選択する地域が異なります。

各自治体の特徴を検討して、希望通りの生活が実現できるよう検討してみてください。

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