移住支援制度とは?具体的な内容と注意点を解説
移住するには費用がかかるため、費用面での不安を感じている方もいるのではないでしょうか。そういった方に注目して欲しいのが「移住支援制度」です。
本記事では、移住支援制度について詳しく知りたい方のために、制度の具体的な内容と種類、注意点や申請手順などについて紹介します。
この記事を読むことで、移住支援制度についての理解が深まります。ぜひ、参考にしてください。
- 1. 移住支援制度とは?
- 2. 注目を集める地方移住
- 2.1. 現役世代の地方移住希望者が増えている
- 2.2. 国や地方自治体から手厚い支援を受けることができる
- 3. 国の移住支援制度
- 3.1. 起業支援金
- 3.2. 移住支援金
- 3.3. グリーン住宅ポイント制度
- 3.4. フラット35地方移住支援型
- 3.5. 中途採用等支援助成金
- 3.6. マイホーム借り上げ制度
- 4. 地方自治体の移住支援制度
- 4.1. 住宅に関する補助金
- 4.2. 仕事に関する補助金
- 4.3. 子育てに関する補助金
- 5. 支援制度が充実している地方自治体
- 5.1. 北海道
- 5.2. 栃木県
- 5.3. 富山県
- 5.4. 石川県
- 6. 移住支援制度を利用する際の注意点
- 6.1. 注意点①利用条件を確認する
- 6.2. 注意点②申請時期を確認する
- 6.3. 注意点③支援制度の内容だけで移住先を決めない
- 7. 自分に合った地方移住支援制度の調べ方
- 7.1. 移住総合窓口や自治体に直接問い合わせる
- 7.2. 移住情報サイトで確認する
- 7.3. 移住体験の説明会や相談会に参加する
- 8. 移住に興味がある方は自治体へ相談しましょう!
移住支援制度とは?
「移住支援制度」とはその名の通り、地方への移住を支援するためにつくられた制度のことです。
移住を検討するにあたり、頭を抱える方が多いのが、お金と仕事だといえます。これらの問題に不安を感じ、移住を踏みとどまっている方が多くいるのが現状です。そこで、国や地方自治体は、移住を後押しする目的で移住支援制度を開始しました。
国が移住支援制度を始めたのは2019年のことで、そこから6年間を目途として地方自治体と協力する形で移住支援に取り組んでいます。
具体的な支援の内容は、自治体によってさまざまです。
例えば、通常よりも安く住宅が借りられるものや、特定の職種に就職することで支援金がもらえるもの、そして家を購入したり改築したりする際に費用を支援してもらえるものなどがあります。
なお、どのような移住支援を行うのかについては、各地方自治体が判断する形であるため、移住したいと考えている自治体で必ずしも支援が受けられるものではありません。
各自治体の支援内容については、該当する地域の相談窓口を活用して確認してみてください。
・関連記事>>>地方移住に欠かせない仕事の探し方とは?年代別の注意点も解説
注目を集める地方移住
近年では地方移住が注目を集めています。
ここからは内閣官房で実施した「まち・ひと・しごと創生本部事務局」で実施したアンケート調査の結果、そして国や地方自治体の支援について解説します。
現役世代の地方移住希望者が増えている
東京圏で実施した「まち・ひと・しごと創生本部事務局」のアンケート調査では、地方暮らしの意向ありと回答した方は49.8%と、約半数の方が地方移住に興味を示しました。
その理由として「豊かな自然環境があるため」という結果となっています。地方ならではの自然環境の豊かさが、特に若い世代にとって移住への関心を高める要素となっていることが分かります。
<参考記事:内閣府地方創生推進事務局>
・関連記事>>>移住先の決め方とは?移住先を探す際のチェックポイントを解説
国や地方自治体から手厚い支援を受けることができる
国と地方自治体は、さまざまな移住および定住支援プログラムを実施しています。地域の空き家を移住者に提供する「空き家バンク」制度や、地方の課題を解決するための起業家支援が含まれます。
例えば北海道下川町では、先端技術を持つ企業を誘致し起業家を支援することで、新しいイノベーションが生まれ豊かな自然資源を活用した町づくりが始まっています。また、岡山県西粟倉村では、週末移住を支援することで人口増加が実現しました。
成功の背後には、企業誘致、起業家支援、二拠点生活のための一部費用の助成金など、国や自治体が提供する多様な移住支援策が挙げられます。
国の移住支援制度
国の移住支援制度には以下のような種類があります。
- 起業支援金
- 移住支援金
- グリーン住宅ポイント制度
- フラット35地方移住支援型
- 中途採用等支援助成金
- マイホーム借り上げ制度
それぞれの支援制度について確認していきましょう。
起業支援金
起業支援金は、最大200万円、起業等に必要な経費の2分の1に相当する額が交付されるという支援です。新たに起業する場合と、事業承継又は第二創業する場合でそれぞれ対象となる条件が定められており、すべて満たすことが必要です。
具体的な起業支援金交付までの流れは、以下の通りとなります。
- 公募開始
- 執行団体へ起業支援金の申請
- 審査
- 交付決定
- 法人設立・開業届け出
- 伴走支援
- 実績報告
- 支援金の受給
<参考記事:地方創生:起業支援金>
移住支援金
移住支援金は、東京23区に住んでいる方や通勤している方が、東京圏外に移住した上で起業・就業を行う場合に交付金が支給される制度です。
世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内で都道府県によって設定する額を受け取れます。
具体的な移住支援金交付までの流れは、以下の通りとなります。
- 地方へ移住
- 移住先で条件を満たす
- 支援金の申請
- 審査
- 支援金の受給
対象者、移住先、支援金が認められる条件などは事前に確認してください。
<参考記事:地方創生:移住支援金>
グリーン住宅ポイント制度
グリーン住宅ポイント制度とは、移住するにあたり、省エネ性能に優れた家を取得する方に対し、ポイントを支給する制度のことを指します。
例えば新築住宅の建築・購入を行う場合、条件を満たしていれば30万~100万ポイント、既存住宅の購入については15万~45万ポイントが発行されます。
リフォーム工事も対象で、ポイントは工事の内容に応じて発行されるので事前に確認しておくと良いでしょう。
申請方法は、申請タイプ・申請方法によって以下の2つに分かれます。
【完了前申請】
- 工事請負契約または売買契約
- 申請に必要な書類をそろえる
- ポイント発行申請
- ポイントの発行
- ポイントの利用
- 工事または住宅の引渡し
- 完了報告
【完了後申請】
- 工事請負契約または売買契約
- 工事または住宅の引渡し
- 申請に必要な書類をそろえる
- ポイント発行申請
- ポイントの発行
- ポイントの利用
支給されたポイントは健康関連商品や家事負担軽減に資する商品、追加工事などと交換して活用できます。
<参考記事:グリーン住宅ポイント事務局:グリーン住宅ポイントとは?>
フラット35地方移住支援型
フラット35地方移住支援型は、移住支援金を受けた方対象の住宅ローン金利の優遇制度です。最初の10年間、年間金利が0.3%引き下げられます。
<参考記事:【フラット35】地方移住支援型>
中途採用等支援助成金
中途採用等支援助成金は、東京圏からの移住者を雇用する事業主向けの制度で、雇用に関連する経費の一部を支援する制度です。最大100万円の助成金が提供されます。
<参考記事:中途採用等支援助成金(UIJターンコース)>
マイホーム借り上げ制度
空き家となっているマイホームを借り上げ、賃貸契約や賃料の取り決め、そしてトラブル対応などを代行してくれる制度です。
なかには、自宅を持っていることで移住をためらっている方もいるでしょう。そのような方は、マイホーム借り上げ制度を利用することで、空き家の間でも安定した賃貸収入を得られます。
<参考記事:マイホーム借り上げ制度>
地方自治体の移住支援制度
地方自治体の移住支援制度では以下の3つの補助金もあります。
- 住宅に関する補助金
- 仕事に関する補助金
- 子育てに関する補助金
それぞれの補助金の概要について確認しましょう。
住宅に関する補助金
フラット35地方移住支援型とは別に、住宅購入を支援しリフォーム工事費用を補助する制度もあります。
また、若い世代や子育て世代には、補助金が増額されたり、空き家の利用に関しても特典が付与されたりする自治体も。さらに、固定資産税の減免もあるため、都市部よりも住宅を購入しやすい環境が整っています。
仕事に関する補助金
就労に関連する補助金がある自治体もあります。
国の取り組みとして、49歳以下の人々を対象にした就農支援事業が行われていますが、自治体によっては50歳以上の人々にも就農支援を提供する場合があります。
子育てに関する補助金
子育ての関する補助金を実施している自治体は多くあり、支援内容は以下のような種類があります。
- 出産や子育てに関する支援
- 子供の医療費の助成
- 学校の給食費支援
- 習い事に関する支援
具体的な詳細については、各自治体にて確認してください。
支援制度が充実している地方自治体
支援制度が充実している地方自治体は以下の4つがあります。
- 北海道
- 栃木県
- 富山県
- 石川県
それぞれの特徴について確認していきましょう。
北海道
自然に恵まれた北海道は、のびのびと子育てを楽しみたい方に人気があります。経済と文化の中心であり交通の便も良い札幌市や、観光地が点在する旭川市や函館市が特に人気のエリアです。
北海道では、各自治体が移住体験をサポートするための施策に力を入れています。
例えば、旭川市では「移住生活体験住宅」プログラムを実施しており、菜園つきの一戸建て住宅を1週間から3年間借りることが可能です。また、長期滞在用の住宅は月額4万円で利用でき、旭川での生活を経済的に快適に体験できます。
自然の魅力がたっぷりの岩見沢市では、「お試し暮らし事業」を実施しており、1週間から2ヶ月の期間で、体験住宅に1日1500円から住めます。
<参考記事:旭川市移住情報>
栃木県
栃木県那須郡那珂川町は、住宅用地を無償で提供している自治体です。栃木県那須郡那珂川町へ住むことを希望する方に対して、20年間土地を無料で貸し出しています。
各区画は約150坪以上の広々としたスペースを提供しており、新しい住宅を建てるだけでなく、家庭菜園を楽しむことも可能です。
さらに、家屋の固定資産税相当額を3年間支援したり、浄化槽の設置に関する補助金を提供したりと、さまざまな特典が提供されています。
町では3日から60日以内の期間で、田舎暮らしを試す「お試し田舎暮らし体験」も実施しており、実際に町の観光スポットやイベントに参加し、地元の特産品を楽しむとともに、地元の人々と交流を深める良い機会となっています。
<参考記事:栃木県那珂川町|移住・定住>
富山県
富山県氷見市では、氷見市への移住を検討している方や、移住後の自動車運転に自信がない方、または新たに自動車免許を取得しようとしている方に対して、市内の自動車学校での講習費用を支援しています。
また、氷見市への移住を支援するために一世帯あたり10万円相当の地域商品券や電子地域通貨を提供する「氷見市移住世帯生活応援金」、そして最大で140万円までの補助金が受けられる「定住マイホーム取得支援補助金」、さらに最大で100万円の住宅リフォーム支援補助金など、移住者向けのさまざまな支援プログラムを提供しています。
<参考記事:氷見市|移住定住推進課>
石川県
加賀百万石の歴史と文化が息づく金沢市、世界農業遺産として認められた里山里海の自然が広がる能登地方、白山の自然と伝統的なものづくり、そして温泉が楽しめる加賀地方などがある石川県。
石川県で移住を検討している方へ「移住体験プログラム」を実施しており、移住前に体験することが可能です。
また、能登地域は子育て支援に力を入れています。例えば、世帯状況によっては、保育料が無料になる場合もあります。さらに、七尾市、羽咋市、中能登町では、18歳未満の子供の医療費が無料となるなど、子育て家庭にとって生活しやすい地域といえます。
移住支援制度を利用する際の注意点
有効活用したい移住支援制度ですが、利用にあたって以下の3つの注意点があります。
- 利用条件を確認する
- 申請時期を確認する
- 支援制度の内容だけで移住先を決めない
それぞれの注意点について、確認していきましょう。
注意点①利用条件を確認する
移住支援制度を利用しようと考えているのであれば、先に確認しておきたいのが、支援を利用するための条件についてです。各自治体では、細かい条件を定めています。そのため、よく内容を確認したうえで利用しましょう。
注意点②申請時期を確認する
支援制度のなかには、移住前の居住期間や移住後の期間を条件とするものもあります。自分が適切なタイミングで支援を受ける資格があるのか確認することは重要なポイントです。
また、応募期間が指定されているものや、制度を利用する前に申請が必要なものなどもあるため、注意しなければなりません。
・関連記事>>>移住支援制度とは?申請手順や注意点について解説!
注意点③支援制度の内容だけで移住先を決めない
国や自治体が提供する移住支援制度は非常に魅力的ですが、それだけで移住を決定することは避けましょう。移住後、仕事や子育て、生活環境など「実際住んだら思っていた環境が違った」ということもあります。
つまり、支援制度の内容だけで決めるのではなく、移住を検討する際は、短期間でも現地で生活体験して環境を確かめることがおすすめです。
自分に合った地方移住支援制度の調べ方
自分に合った支援制度の調べ方は以下の3つの方法があります。
- 移住総合窓口や自治体に直接問い合わせる
- 移住情報サイトで確認する
- 移住体験の説明会や相談会に参加する
それぞれの方法について確認していきましょう。
移住総合窓口や自治体に直接問い合わせる
各自治体のWebサイトには、地域の魅力や移住に関する支援プログラムなどの情報が提供されていますので、興味を持った地域を調査してみましょう。
すでにいくつかの移住候補がある場合、自治体に直接問い合わせてみることも可能です。
インターネットの情報よりも詳細な内容や最新情報が手に入る可能性が高いため、具体的に移住したい地域が決まったら、自治体や移住総合窓口へ直接問い合わせすることがおすすめです。
移住情報サイトで確認する
国や地方自治体のWebサイト以外にも、多くの移住情報サイトが存在します。
各地域の移住情報や、移住に関する記事が豊富に掲載されているため、自分に合った情報サイトをブックマークして、定期的にチェックすることをおすすめします。
実際に移住した人々の経験談は、将来の生活を想像するのに貴重な情報源です。
移住体験の説明会や相談会に参加する
国や各自治体が主催する移住説明会は、定期的に開催されています。また、移住体験イベントやツアーも用意されている自治体もあります。先輩移住者や地元の人々との交流は貴重な機会ですので、関心がある場合は積極的に参加してみると良いでしょう。
なお、参加したからといって、その地域に移住しなければいけないわけではありません。ぜひ、参加してみてください。
移住に興味がある方は自治体へ相談しましょう!
今回は、移住支援制度について詳しく知りたい方のために、制度の具体的な内容と種類、注意点や申請手順などについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
移住支援制度をうまく活用することで、費用面での負担を抑えられます。興味がある方はぜひ、移住したいと思っている自治体へ相談してみてください。
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