「非常事態」

40町歩(ちょうぶ)もの広大な田んぼの
稲刈りを終え、間もなくたったある晩、
夕飯を終え、居間にいるときのことです。
尋常じゃない呻き声とともに、「ドドドー」と壁にぶつかって倒れた音が聞こえてきた。
この場に居ない主人のもとに駆け寄ったとき、
血の気がひき、真っ青な顔、失神状態の姿を目の当たりにした私は、迷いなく救急車を呼んだのでした。

救急隊員に「奥さんも一緒に救急車に乗ってください」と促されたが、
当時まだ次女は1歳で、長女と留守番をさせるには気がかりで、私たちは身支度をし、救急車の後を追いかけた。
主人は、ここ羽咋市から、30分かかる隣の七尾市へ救急搬送されたのだった。
一言で言えば、「鉄の男!?」
少々なことには動じず、メンタル的にも、体力的にも強い主人が救急車の中に居る。

何がおこってしまったのかわからないまま、
我を落ち着けながら運転したのを思い出す。
「子供を後ろに乗せて来てよかった」
と自分の精神安定にかってくれたと、心から思ったのでした。

緊急手術ののち、数週間の入院を言い渡された。

本当になにがおこるかわからない。

生身のからだ。
普段健康な人間でも、いろいろと留意していても、こんなことが起きてしまう。
「運転免許があってよかった」
交通網が発達していない能登地域では、やはり
車が無いのは足がないのと同じ。
非常事態には特に、不便を強いられると思うのです。

身寄りのない私たちのような移住者は、
ご近所さんとの関わりや、普段から自分たちを知っていてもらい、コミュニュケーションを取ることの必要性を感じました。

主人は元気に復帰し、今年も無事に稲刈りを終えました。
健康であることへの感謝の気持ちが、
この時期は特に強くなります。

見渡す限りの広大な田んぼの稲刈りの様子
主人不在でイベント出店しました。
自然栽培のにんにくやポップコーンを販売しました。