【移住者が語る】都会から能登に転居したご夫婦が語る羽咋市の魅力
近年、リモートワークの普及にともなって、都会を離れ、地方へ移住する方が増えています。
地方ならではの、自然に囲まれた生活や、温かい人との繋がりに魅力を感じている方も少なくないでしょう。
とはいえ、地方移住はライフスタイルが大きく変わる一大イベントであり、その実態は気になるところです。
そこで今回は、一家3人で羽咋市に移り住んだ小原さんご一家に、能登での暮らしや、魅力についてお伺いしました。
目次
プロフィール
小原 天磨様
(おばら てんま)
1992年生まれ
出身:北海道(旭川市)
職業:会社員/インサイドセールス
SNS:https://twitter.com/pamma6321
小原 実果様
(おばら みか)
1996年生まれ
出身:北海道(苫小牧市)
職業:アルバイト、フリーデザイナー
SNS: https://lit.link/mikamahodo
小原 菜乃花ちゃん
(おばら なのか)
2023年生まれ
移住の決め手は、農業への関心と充実の子育て支援制度だった
移住を考えるきっかけは何でしたか?
天磨様:大元のきっかけになったのは、新型コロナウイルス感染症の拡大です。
ぼくが勤めている都内の会社には、週5日の出社義務がありましたが、コロナをきっかけに、感染症対策としてリモート業務が解禁されました。
担当している仕事が、もともとリモートでもできる業務だったので、それ以降は、フルリモートに切り替えて仕事をするようになりました。
当時、妻とはまだ結婚をしておらず、先々の住まいを考えていた際に、「仕事場所に縛られないのなら、いろいろな場所に行けるな」と思い立ったのが、移住のきっかけです。
能登と羽咋市については、何で知りましたか?
天磨様:移住するにあたって、候補が日本全国だと選択肢が多すぎるので、まずは自分にとっての理想の生活や、今後の家族像を思い浮かべて、条件を絞ることにしました。
いろいろ考えてみましたが、「子育てに優しい町で暮らしたいな」という気持ちが強かったので、“子育て支援が充実した町”をキーワードに移住先を探しはじめました。
具体的に見ていたポイントは、自治体ごとの「出産祝い金制度」の違いですね。
インターネットで調べたところ、「全国自治体の出産・誕生祝いランキング」のTOP5に羽咋市の名前が挙がってきました。
それが、この土地を知ったきっかけです。
あと、これは、羽咋市について調べ始めてから気づいたことですが、ぼくが大学時代に読んだ「ローマ法王に米を食べさせた男」という本の舞台でもあったんですよね。
羽咋市は、農業が盛んで、かつ自然栽培を行っている町なので、将来農業にも挑戦したいと考えていたぼくには、とても魅力的に映りました。
移住する土地についての情報はどのように集めましたか?
天磨様:「住宅支援制度」や「移住支援制度」など、移住者が活用できる制度についてはインターネットを中心に情報を集めました。
あとは、現地に赴いて、移住支援課から情報をもらうこともありましたね。
ローカルな情報って、インターネットに載っていないことが多くて……。
なので、地域の回覧板や広報誌は、隅々まで確認するようにしていました。
地域に溶け込むための情報として、これらは欠かせません。
羽咋市以外に移住先の選択肢はありましたか?
天磨様:実は、もともと大阪に憧れていて……。
というのも、生まれてくる娘に、関西弁を喋らせたかったんですよね。
関西弁で話す女の子って、素敵じゃないですか(笑)
ただ、移住先の条件にしていた「子育て支援制度」に関して、希望に合う関西圏の町がなかなか見つけられなかったんです。
その点、旅行で行ったことのある石川県なら、言葉のイントネーションが関西弁に近いし、いいかなと思いました。
ちなみに、石川県のなかでは、羽咋市以外の選択肢はありませんでした。
石川県に移住するなら、子育て支援制度が充実しているうえに、自然栽培が盛んな羽咋市だと最初から決めていました。
現在お住まいの住居はどのようにして見つけられましたか?
天磨様:今の住まいは、空き家バンクで見つけました。
空き家バンクに掲載されている物件数は、地域によってまちまちですが、当時、羽咋市は他の石川県のエリアよりも掲載数が多く、金額も手頃だったのを覚えています。
実果様:物件を探し始めた当初、3つの候補がありましたが、わたし的には、あまりピンと来ませんでした。
その後もめげずに毎日、新しい物件がないかをチェックしつづけて、ようやく今住んでいる家に巡り合えたんです!
羽咋市に紹介していただいた移住コーディネーターの方から、物件を紹介してもらうこともできましたが、最終的には自分たちで見つけたこの家に決めました。
住居に対するこだわりがあれば、教えてください
実果様:見た目にはこだわりました。
囲炉裏があって、「THE・古民家!」という感じがしたのも、気に入ったポイントです。
瓦屋根の大きい平屋で、築150年以上経過しているのは確かですが、正確にいつ建てられた家なのかは、調べても全然わかりませんでした(笑)
過去に増改築された物件らしく、家自体はしっかりしていたものの、リフォームが必須でした。
この家に住みつつ、5か月くらいかけてリフォームを進めたので、今はきれいです。
家の歪みも直したので、子どもがハイハイしやすそうな家になりました。
移住についてご親族にお話しした際のご反応はいかがでしたか?
実果様:両親からは「なんで遠くに行かなきゃいけないの?」と言われました。
孫の成長を近くで見たかったのだと思います。
最終的には、「いずれはどこかへ行くと思っていたから……」と承諾してくれました。
ただ、能登エリアは地震が多いので、心配の電話がちょくちょく掛かってきますね(笑)
ちなみに、両親を説得する際には、わたしたちが羽咋市に来るきっかけにもなった「ローマ法王に米を食べさせた男」の本を読んでもらいました。
羽咋市の魅力や、土地の面白さを伝えるのにひと役買ってくれました。
移住を成功させるカギは、地域住民との人間関係の構築にある
以前住んでいた場所と現在お住まいの地域で、感じる違いを教えてください
天磨様:これは4つのポイントが思い当たります。
1つ目は、市長との距離が近い点です。
実際に市長と偶然、居酒屋でご一緒したこともありますし、イベント会場でも度々お会いました。
東京や札幌ではこういった機会がなかったので、行政との距離感の近さを感じています。
2つ目は、都会と違い、ちょっとした出来事がニュースとして取り上げられることでしょうか。
人口が少ない地域なので、移住してきただけで地元の広報誌に載るなんてことも珍しくありません。
3つ目は、インターネットに載っていない情報が多いことです。
地域のイベントのお知らせを見ると、開催場所が「〇〇さんの家の納屋」とか書いてあるんですよ!
こんな情報、ネットでは調べられないですよね(笑)
移住してきたばかりの頃は、誰がどこに住んでいるかも知らなかったので、住宅地図を開いて、場所を探したものです。
そして4つ目は、近隣市町との一体感があるところです。
近隣市町合同で移住者交流会があったり、能登地域の共同イベントが開催されたりと、ほかのエリアの方と交流をもつ機会が多いように思います。
実果様:学生時代は札幌に住んでいましたが、そこと比べると、お店も、歩いている人もさすがに少ないです。
金沢市まで行かないと買えない物も多く、不便に感じる部分があるのは否定できません。
そのぶん、無駄遣いは減りましたけど(笑)
羽咋市は飲み屋も少ないので、知り合いのお宅に集まって宴会をする機会が増えました。
そういった点でも、だいぶライフスタイルが変わったと思います。
移住の準備で大変だったことはありますか?
天磨様:移住するにあたっての、大きな出費は「家」と「車」でした。
ただ、移住費用は、国の移住者支援制度を活用したので、それでほとんど賄えました。
実果様:車についてですが、こちらでの移動は大半が車なので、1人1台は欲しいところです。
バスも走っていますが、1日に2~3台しか通らないですし、タクシーは場所によって来てくれないこともあるので使い勝手が悪いですね。
街中までは、自転車で行くにも距離がありますし、徒歩だと1時間はかかるので、しんどいんですよね(笑)
移住したらまずやったことは何ですか?
実果様:まずは、家を掃除しつつ、リフォームも並行して進めました。
とはいえ、到着した日は、まだ引っ越しの荷物も届いておらず、空っぽの家と車があるだけでしたので、引っ越し初日は車の中で暖をとって過ごしました。
翌日は、届いた荷物を部屋や倉庫に運ぶので、あくせくしていたのを覚えています。
あとは、住民票の移動といった引っ越しの手続きをしたり、ごみの出し方を調べたりしました。
ゴミの出し方もインターネットに書いてなかったので、町会長さんにお会いして、直接ルールを教えてもらったんです。
近隣住民の方々とは、どのように関係性を築いていらっしゃいますか?
天磨様:羽咋市に移住する前に、「お試し移住体験」を利用しました。
これは、市が保有する住宅に3~5日間、無料で住めるという制度です。
お試し移住体験をしているあいだは、羽咋市が開催する農業体験に参加できるのですが、そのときお世話になった農家さんと、今でもお付き合いがあります。
あとは、回覧板で回ってくるような、地域行事には意識的に参加するようにしていますね。
ぼくたちの移住を、喜んで迎えてくださる方が多かったので、地域の方々との関係性の構築はスムーズだったように感じています。
実果様:移住に際して、知り合いが家族以外、誰もいない環境にはなったものの「友達を一からつくるぞー!」と、その状況を前向きに捉えていました。
羽咋市に越してきてからは、家の近くを散歩したり、公民館を覗いたりして、近隣の方とコミュニケーションをとるように心がけました。
いろいろな方と話をしながら、少しずつ地域に馴染んでいけたらいいなと思っています。
もう一つ、能登の移住者交流会「イジュトーク」にも参加しています!
こういった交流の場に参加することで、同世代の友人も増えました。
移住して、驚いたことはありますか?
天磨様:人との距離感の近さに驚きました。
というのも、家の扉をガラッと開けて、「元気してるー?」などと声をかけてくれる方が珍しくないので。
最初はびっくりしましたね(笑)
そんな地元の方々との交流を大切にするために、我が家では、あえて自宅にカーテンを設置せず、オープンな状態にしています。
そのうち、ベランダにベンチやウッドデッキを設けようかなとも考えています。
不用心とも捉えられそうですが、それくらい治安の良さを感じる地域です。
地方移住をしたからこそ、得られるチャンスがある
羽咋市に移住して、なにか思うことがあれば教えてください
天磨様:移住して、特に大きなトラブルもなく、ちゃんと生活できているので、羽咋市に来て良かったなと思っています。
あとは、奥さんの機嫌を崩さないよう気をつけつつ、生活を続けたいです。
実果様:そうだね、何かしらあるとしたら、この家の中だもんね(笑)
移住して間もない頃は、正直なところ「地元に帰りたいなー」って思っていました。
ですが、羽咋市での生活に慣れて、地元の方々と日々、接するなかで、徐々にその気持ちが薄れてきたように感じます。
都会のように、なんでもあるわけではないからこそ、活躍できる場が多いと思うんです。
競合が少ないので、新しいことを始めたら、すぐにその地域の専門家になれちゃいます。
今後は、自分の得意を活かして新しいビジネスを始めたり、我が家の空き部屋を活用して民泊を開業したりと、いろいろ挑戦する予定です。
今、この地にたくさんのチャンスをもらっていて、羽咋市は「やりたいが叶う場所」なのかもしれないと感じています。
これから先がますます楽しみです。
今後の展望はありますか?
天磨様:今、考えているのは、「新規就農」と、今お話ししたように「民泊の開業」です。
いずれは会社員の仕事を辞めて、これらの仕事を主軸にしていきたいです。
移住前からお世話になっている農家さんから、農業について教わっていて、いずれは自分の田んぼをもちたいと思っています。
将来的には、自分でお米を自然栽培し、学校に提供して、「学校給食で自然栽培米100%」を実現したいです。
地方に移住される方は子育て家庭が多いので、子どもが食べる給食のおいしさや安全性が担保されれば、それを求めて移住希望者が増えるんじゃないかなと考えています。
民泊に関しては、羽咋市への移住を考えている方が、気軽に利用できる宿泊施設にしたいですね。
実果様:「お試し移住体験」は3~5日と、宿泊できる日数が限られているうえに、1回しか利用できないので、その制度を使ったあとの宿泊の選択肢として使ってもらいたいです。
あと、わたし個人としては、在宅ワークをしたいと考えていて、それに備えてWebデザインの勉強をしています。
コードを書く練習をしたり、チラシのデザインを作ったりしています。
最近では、お小遣い程度の稼ぎですが、お仕事を受注できるようになりました。
今後は、近隣施設のホームページを作ったり、SNSのやり方を教えたりと、地域密着の仕事をしていきたいですね。
これから移住を考えている方に向けて、地方の生活を楽しむためのアドバイスをお願いします
天磨様:まずは、パートナーをさまざまな交友関係に巻き込みつつ、移住生活を楽しんでもらうことです。
旦那の野心だけで突っ走って、奥さんが置いてけぼりでは、うまくいかないんじゃないかなと思っています。
次に、イベントやお祭りなど、地元のみこしを担ぐようなイベントへの参加は重要です。
草刈りや芋掘りといったイベントはもちろんですが、なかでもお祭りは別格です。
歴史のある町では、想像以上にお祭りのような伝統行事への出席に重きを置いています。
これらのイベントに率先して参加していけば、地元の方々からも信頼が得られて、自分たちも暮らしやすくなると思いますよ。
最後に、朝7~8時頃には散歩をしてほしいですね。
出勤時間にもあたるこの時間帯に出歩くことで、いろんな人から声を掛けられるなど、さまざまなイベントが発生します。
地域に溶け込むのに、とても大切な時間です。
実果様:あとは、移住する前に、先輩移住者から話を聞いてみるのがよいと思います。
リアルな体験や、インターネットに載っていないことは現地の方に直接聞いたほうが、正確かつ、手っ取り早く情報収集できます。
わたしの場合、SNSで見つけた移住者の方に連絡を取って、直接お話をする機会を設けていただきました。
今思い返せば、視察の段階で、先輩移住者に会ってお話しできたのは、とてもよかったです。
羽咋市は子育て世帯に優しく、やりたいが叶う町
いかがでしたでしょうか?
仕事のリモートワーク化をきっかけに、一家3人で羽咋市へ移住された小原さんご一家から、ほのぼのとした能登での生活や、移住のコツをお伺いしました。
新規就農や民泊の開業を志し、羽咋市を盛り上げようと精力的な小原さんご一家の、今後の活躍や明るい未来を願っております。
のと住。では、能登に移住された方のインタビュー記事を多数、掲載しています。
能登への移住を考えている方に向けて、能登地域の特色や魅力を発信するとともに、移住に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。