【移住者が語る】挑戦を後押しする歴史深い町、七尾市の魅力

能登風景

 

石川県の能登エリアは、かつての能登国が立国してから1,300年以上の歴史がある土地です。

古墳や城の跡地などの歴史的建造物を有しており、このような由緒ある地での生活に憧れを抱く方は少なくないと思います。

 

本記事では、そんな能登の歴史に心を惹かれ、移住を果たした小梶 崇様に、地域の魅力や実際の暮らし、この地で携わっているビジネスについてお伺いしました。

能登への移住を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

インタビューのプロフィール

小梶さん

小梶 崇(こかじ しゅう)様

1980年生まれ

大阪府出身

スポーツクラブ経営者

 

スポーツクラブのインストラクターとして就職

その後、スポーツのトレーニングのためカリフォルニアに留学する

帰国後、2009年に仕事のため石川県七尾市に移住

現在は、七尾市内のスポーツクラブ「ノトアフィットネスクラブ」の経営者兼インストラクターとして活動する

ノトアフィットネスクラブ:https://www.notoa.jp/

七尾市の長い歴史に心を惹かれ、始まった移住生活

現在、どのような活動をされていますか?

私は、七尾市内にある「ノトアフィットネスクラブ」というスポーツクラブの運営を行っております。

そこでの主な仕事は、経営とインストラクターです。

 

くわえて、移住者数名で設立した「おやゆびカンパニー」という会社にも所属しています。

おやゆびカンパニーは、能登の地を活かして、各々がやりたいことを実現したり、同じような夢を持つ方の活動をサポートしたりして、まちづくりを後押しする団体です。

 

過去には、おやゆびカンパニーの代表者と私とで、移住者交流会「イジュトーーク」を立ち上げました。

能登の移住者同士が横の繋がりを作れる場として賑わいをみせ、今でも多くの方が参加してくださる企画になりました。

 

また、おやゆびカンパニーでは、築150年の古民家を改装して、ゲストハウス兼カフェも運営しています。

 

そのほかにも、地域の「まちづくり協議会」に参加し、七尾市に関する情報発信やイベントの企画も立案しています。

 

七尾市に移住したきっかけを教えてください

能登定林寺

七尾市に移住したのは、仕事がきっかけです。

ここに来る前は、自身の短距離走のトレーニングをするために、アメリカのカリフォルニアで暮らしていました。

 

日本に帰ってきた際、大阪や名古屋など、さまざまなエリアからスポーツクラブに関する仕事のオファーをいただいたのですが、そのなかの一つに、七尾市での仕事がありました。

いただいたオファーの多くが「新規事業の立ち上げ」に関する業務であるなか、七尾市での仕事は「つぶれかけのスポーツクラブを立て直してほしい」という依頼だったのです。

 

0から1を作るような立ち上げの仕事に携わったことはあったものの、経営を立て直す仕事に従事した経験がなく、とても興味をそそられました。

それに、スポーツクラブの立て直しを成功させられれば、自身のキャリアにも箔がつくんじゃないかという思惑もありました。

 

私は昔から歴史が好きだったので、七尾市のことは以前からよく知っていたんですよね。

依頼を受けた場所が七尾市と知ったときは「あの七尾城のある七尾市!?」と驚いたものです。

それ以降は、七尾市以外での仕事はすべてお断りし、迷いなく移住を決めました。

七尾市以外で移住を検討していたエリアはありますか?

仕事の都合上、ほかのエリアは検討しませんでした。

憧れの七尾城がある土地ですからね、迷いは一切なかったです(笑)

 

とはいえ、能登はどの地域にも長い歴史があります。

移住地が七尾市ではなく、輪島市や中能登町など、能登の別エリアだったとしても、同じように心を掴まれ、のめり込んでいたように思います。

 

移住後はどのような家に住まれていましたか?

七尾市で暮らし始めてしばらくは、賃貸の集合住宅に住んでいました。

 

今でこそ「空き家バンク」などで、物件情報を得やすくはなりましたが、私が移住した当初は、そのような制度はあまり整備されていませんでしたね。

 

その後、結婚して家庭を持ったのをきっかけに一軒家を建てました。

今住んでいる家の近くには大きな公園があり、とても子育てしやすい環境なので、満足しています。

七尾市は自然と利便性を兼ね備えた「ちょうど良い田舎」

七尾市の魅力を教えてください

 

七尾市の魅力は「ちょうど良い田舎」である点だと思っています。

 

20~30分もあれば海にも山にも行けるので、自然を身近に感じられるけども、利便性が悪いかと言われれば、そんなことはありません。

コンビニはそこそこの軒数がありますし、大型ホームセンターもあるので、不便に感じる機会は少ないですね。

 

移住者のなかには、「限界集落」のような商店やサービスがない環境に憧れを抱いている方も少なくないですが、実際にそういう環境で暮らすとなると、かなり大変なんですよ。

本当に何もないですから(笑)

 

結果的に、七尾市のような、程よく自然を感じられるうえ、暮らすのに不便がない環境が、移住するにはちょうど良いんだと思います。

移住者の方からは、「良い意味で中途半端な田舎」だという意見を耳にしますよ。

七尾市と以前お住まいだった地域で違いを感じるところはありますか?

 

以前住んでいた場所と比べて、七尾市は空気が断然きれいですね。

大都心で暮らしている頃は、地下鉄をよく利用していましたが、駅構内に漂う独特のもわっとした空気を吸うことが、七尾市ではまずないです。

満員電車に乗る機会も少ないので、人混みで感じるストレスもありません。

 

また、七尾市には「七尾時間」みたいなものがあって、ちょっと時間にルーズなところはあるけれど、都心よりのんびりとした空気感があります。

 

ただ、能登エリアは「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるくらい、晴れの日が少ない土地なんです。

曇りや雨の日が多いので、気持ちが滅入ってしまう方もいらっしゃいますが、私の場合「晴れの日が少ない分、太陽が出ている時間を大切にしよう」と、心がけるようになりました。

移住にあたって大変に感じたことはありますか?

大変に感じたことは、二つ思い当たります。

 

一つは、「スポーツクラブの立て直し」という仕事をするにあたって、これまで培ってきたノウハウが通用しなかったことです。

 

廃業寸前のスポーツクラブでしたので、売上に直結するアクションを早急に仕掛ける必要があり、当時有効とされていたチラシの配布を行ったんです。

ところが、数十万円もかけた施策にもかかわらず、数か月経ってもまったく反応が得られませんでした。

愕然としたのを今でも覚えています……。

 

悩んだ末に、自分の考え方を改める必要性を感じました。

まずは、私自身が広告媒体になり、地域に溶け込んでみることにしたんです。

具体的には、地元住民が集まるお祭りに片っ端から参加して、私の顔をとにかく売り込みました。

 

その結果、スポーツクラブの会員数が着実に増え始めました。

「この地域は、小手先だけのテクニックだけでは、商売が成り立たないんだな」と痛感した出来事です。

 

もう一つ大変に感じたのは、移住してしばらくのあいだ、方言が聞き取れなかったことです。

なかでも、早口で方言を話される方がいて、言葉がまったくわからず、表情だけでなんとなくニュアンスを読み取りながら話を合わせていました(笑)

 

今では、ほぼ聞き取れます!たまに高齢者の方が使う独特の慣用句的な言葉以外は(笑)

 

七尾市でおすすめの食べ物はありますか?

七尾市は、海も山も近いので食材は豊富ですし、旬の食べ物をその時期に食べると、豊富な食材を育むこの土地に対してありがたみを感じます。

なかでもお寿司がおいしくて、よく食べに行っていますよ。

町の回転寿司店で出てくる品も、鮮度が良くて絶品です。

 

ただ、私はそれ以上に「食材を自分で採りに行ける」ところに、七尾市の魅力を感じています。

近所の方と一緒に、山へキノコを採りに行ったこともありますし、魚を釣りにも行きました。

 

食べ物って、自分で採ったものを調理したほうが、おいしく感じると思うんですよね。

都市部では「料理を作る」ことはあっても「食材を採る」機会はあまりないんじゃないでしょうか。

 

自分で採った食材を使って、みんなでワイワイしながら食事を楽しむ……。

そんな時間には、味覚だけじゃなく、五感で感じる喜びがあり、「栄養価以上の価値」を感じます。

移住生活を充実させるポイントは、少しの勇気とコミュニケーション

七尾市のコミュニティに馴染むために意識したことはありますか?

私の場合、スポーツクラブという仕事上、何をせずとも自然と地域の方々と触れ合う機会が多くあります。

スポーツクラブ自体が地域のコミュニティになっており、下は3歳から上は89歳まで幅広い年齢層の方に来ていただけます。

なので、仕事をしていれば必然的に、いろんな人と関われる環境でした。

 

そういった点で、私は恵まれていましたね。

移住を希望する方に向けてアドバイスをお願いします

田舎の生活に対して「お金がかからない」というイメージをお持ちの方も少なくないと思います。

でも、実際にはそんなことなく、維持費はしっかりかかります。

 

くわえて、多少のコミュニケーション能力は不可欠です。

大それたことをする必要はありませんが、近隣の方と会ったら挨拶するなど、最低限のコミュニケーションはとれたほうがよいですね。

 

あとは、せっかく田舎に来るのであれば、ぜひ、何か叶えたい夢や目標を持ってもらいたいです。

私は、七尾市を「いろんなことが叶う町」だと思っています。

農業など、自然を活かした事業はもちろんですが、インターネットを使えば、世界に向けた最先端の活動も可能です。

起業を支援する仕組みもあるので、思い描いたことを実現できる土台は整っています。

 

とはいえ、移住を決める前に、まずは一度、遊びに来て、七尾市を五感で感じてください。

遊んでいるうちにこの地を好きになれたら、それから移住を計画すればよいかもしれませんね。

小梶様の今後の展望を教えていただけますでしょうか?

私の展望は、能登のような地方に住みながらも、日本国内、はたまた世界に向けた仕事ができるというポジティブな未来を次の世代に見せることです。

その一環として、私が所属するおやゆびカンパニーでは、インドやベトナム、タイなどの国外で日本の特産品や健康サービスを販売する企画を進行中です。

 

地方は、都心に比べて職業の幅が狭まる傾向があります。

仕事の選択肢が少ないのを理由に、地方への移住をためらう方が少なくありません。

 

しかし、手元にあるものを組み合わせれば、いくらでも新しいものを生み出せるのが今の世の中だと思っています。

インターネットやAIの普及によって、従来の世界観は大きく変わり始めています。

今まで主流だった職業がなくなる一方で、新しい職業が生まれてくるでしょう。

 

この事業を通じて、日本と海外を繋ぐ架け橋になるだけでなく、七尾市が小さな地方都市になれるよう活動していきます。

私の格言でもある「選択肢のある世の中を」を、この七尾市で体現したいですね。

 

七尾市では、少しの勇気と少しのコミュニケーションさえあれば、できないことはありません。

七尾市は「こんなことしたいな」が叶う場所

いかがでしたでしょうか?

 

今回は、七尾市でスポーツクラブを営みながら、地域発展のためにさまざまな取り組みをされている小梶様にお話を伺いました。

 

廃業寸前のスポーツクラブを、地元の方々に愛されるコミュニティへと立て直すだけでなく、七尾市がより良い地域になるような働きかけを惜しみなく行っています。

小梶様のはつらつとしたお人柄に、みんなが元気になる……。そんな印象を受けました。

 

のと住。では、能登に移住された方のインタビュー記事を多数、掲載しております。

また、能登への移住をお考えの方に向けて、地元の魅力を発信するだけでなく、移住の相談やサポートも承っておりますので、お気軽にご相談ください。