ワーケーションとは?メリット・デメリットとともに解説!

好きな場所で余暇を楽しむように暮らしながら仕事もこなせる「ワーケーション」が注目されています。テレワークからさらに進んだ考え方として、従業員の満足度向上のためにワーケーションに対応する企業が増えてきています。

この記事では、ワーケーションの概念と注目される背景、メリット・デメリットを踏まえて、導入後の普及に向けた方法を詳しく紹介します。

ワーケーションとは?

新しい働き方として注目されているワーケーション。テレワークと似たイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。ここではテレワークとの違いを踏まえて、どのような働き方なのかについて紹介します。

テレワークとの違い

多種多様な働き方が注目されるなかで、地方創生や地方活性化にも役立つと期待されているワーケーションですが、「ワーク(働く)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語として、余暇を楽しみながら働ける方法と定義されています。

一方、テレワークとは情報通信技術を活用しながら離れた場所で働くことを意味する言葉で、「テレ(離れた)」と「ワーク(働く)」を組み合わせた造語であり、こちらの言葉には余暇を楽しむ意味合いはありません。

ワーケーションは余暇が楽しめる、仕事のようにかっちりしていない環境に身を置けることが重視された働き方ですが、テレワークは職場から離れて仕事をする行為です。
つまり、オフィスなどの職場から離れていれば、職場のある建物の中にいてもテレワークになるため、ワーケーションとは大きく意味が異なることがわかります。

「ノマドワーカー」との違いについては、ノマドという言葉が遊牧民を意味するように、ひとつの地域にこだわらず転々と移動しながら仕事をする人を指します。その反面、ワーケーションの場合、余暇を楽しむためにその地域を訪れて仕事をする人なので、転々とする意味合いは含まれていません。

ワーケーションはただ離れているだけではなく、働く人自身の満足度の向上も伴っていなければなりません。観光地やリゾート地、避暑地などが働く場所として選ばれやすく、ワーケーションの中にテレワークの意味が含まれているとも考えられるでしょう。

・関連記事>>>テレワークに伴う地方移住のメリット・デメリットとは?

ワーケーションが注目される背景

ワーケーションは英語で「workcation」と表記され、世界的にも注目が集まっています。なぜ今ワーケーションが注目されているのでしょうか。「関係人口」という言葉を踏まえて詳しくみていきましょう。

関係人口とは?

ワーケーションについて考えるとき、考慮したいものが「関係人口」という考え方です。

関係人口とは、その地域とさまざまな方法で関わる人々の人数・人口のことです。関係人口はテレワーク者・ノマドワーカー・二拠点(多拠点)生活者・過去に勤務や滞在をしたことがある人・地域に故郷などのルーツを持つ人がすべて含まれており、定住か非定住かは考慮されません。

定住者については、地元の人・地域に移り住んできた人の人数を個別に「定住人口」とし、観光で一時的にその地域を訪れた人の数は「交流人口」として計上されます。

ワーケーションにやってくる人は、関係人口の中心的存在として地域の活性化に貢献できる可能性があり、新たな観光の魅力や地域のブランディングにつながる可能性があります。
近年では、この関係人口に含まれる人々が日本全国の各地で増えています。ただ地域にやってきて観光を楽しんでいくのではなく、地域外に住む人々が地域の将来を構築する担い手になりつつあるのです。

・関連記事>>>ワーケーションと地方創生の関連性と「関係人口」の重要性

ワーケーションのメリット

ワーケーションは、企業・従業員・受け入れ先地域の3者にとってメリットが期待できます。
具体的にどのようなメリットがあるのかみていきましょう。

従業員

従業員にとってのワーケーションのメリットは、以下の3点です。

  1. 好きな場所へ旅行・生活できる
  2. 生活や仕事の自由度が高い
  3. 仕事の能率アップが期待できる

ワーケーションが可能な職場や職種であれば、基本的にどの地域へ出かけていってもOKなので、従業員は好きな場所へ滞在しながら、生活と仕事をそれぞれ楽しめる環境が整います。

フレックスタイム制を採用している職場の場合、コアタイムと呼ばれる固定の時間以外は自由に過ごすことができるので、フレックスタイム中に余暇時間を楽しみ、好きな場所でリフレッシュやリラックスをしながら、前向きな気持ちで仕事に取り組めるでしょう。

ワーケーションは、従来のような職場と自宅の往復を繰り返すことで、仕事にメリハリがなくなり楽しみや能率が失われる問題への解決策でもあります。趣味や生きがいを見つけられる場所でワーケーションを行うことで、プライベートの時間も大事にしようと思えるため、仕事だけに縛られず自分らしい生き方にも直結していくと考えられます。

企業

企業にとってのワーケーションのメリットは、以下の3点です。

  • 従業員のやる気や能率が高まる
  • 効率的に時間が回るようになる
  • セキュリティレベルが向上する

ワーケーションのための社内体制を整えることで、従業員は自由度の高い働き方ができるようになります。人生の選択肢が広がるためそれぞれのライフスタイルやワーク・ライフ・バランスにも影響し、仕事への取り組み方が今までとは違うものに変化していきます。

同じ職場に集まって決められた時間を仕事に費やす従来の働き方は、いわば機械的な働き方です。
ワーケーションはその反対で、従業員が個々に時間を工夫して仕事に取り組むため、消極的で意欲の少ない状態を改善できる可能性があります。

加えてワーケーションでは社外の離れた場所同士で情報をやり取りするため、セキュリティを強化しなければなりません。
社外秘のデータや個人情報を持ち出さないように社内規定をしっかりと整備する必要がありますし、セキュリティレベルを上げていくうえで新たな問題が見えてくるかもしれません。また、情報を慎重に扱おうという社内の意識向上も図ることができます。

受け入れ側の地域

近年、ワーケーションが注目されるにつれて、ワーケーションを受け入れる地域も増えてきています。受け入れ地域にとってのワーケーションのメリットは、以下の3点です。

  • 関係人口による知名度の向上
  • 人口減少や過疎化が改善できる
  • 観光業の発展と新たな雇用創出

定住人口や交流人口とは異なり、地域の活性化に貢献する可能性をもった人材が増えるため、その地域への往来が増えて観光業に活気が生まれ、また地域に関わろう・将来的に定住や住み替えを希望したいといった意欲のある関係人口の増加も期待できます。

ワーケーション中の人々は関係人口として、それぞれの地域でアクティビティや衣食住を楽しみ、それにともなう新たな需要の喚起、雇用の創出にも繋がっていきます。

観光客向けの施策を中心に打ち出していた地方自治体も、「ワーケーションプラン」として滞在者向けのプランを検討できるようになり、ワーケーションを検討している企業とマッチング後に業務提携を行うことで、定期的かつ継続的なワーケーションテレワーカーを呼び入れることも可能になるでしょう。

ワーケーションのデメリット

地方活性化・従業員の満足度向上・仕事の効率化が期待できるワーケーションにはデメリットもあります。ワーケーションを検討するうえで避けて通ることはできないデメリットについて紹介します。

コミュニケーション不足の可能性

ワーケーションには、企業側と従業員、従業員同士のコミュニケーション不足が考えられます。
基本的に職場を遠く離れたところでの勤務のため、従業員の働きぶりや真剣度がぶりを実際に目で確認することができません。その場合は、アウトプット以外で人事評価をすることが難しくなる点もデメリットのひとつになりえます。

もちろんアウトプットも重要ですが、結果を出すまでの過程や、そのために行った工夫、仕事に臨む姿勢などの行動評価についても公平に評価する必要がでてきます。ワーケーションに限らず、「公平で透明性のある人事評価」をおこなわないと、従業員のモチベーションは下がってしまう可能性があります。

特に全員一致、またはグループやチーム単位で動かなければならない業務は、お互いが離れたところにいると意思疎通がうまくいかず、結果として業務の方向性が変わったり、リスケジュールや見直しを迫られたりするリスクが考えられます。

同僚や部下をまとめる際にも、ワーケーション中のメンバーがいるとコミュニケーションに手間がかかってしまい、リーダーや上司の負担が増える懸念もありますので、ワーケーションを導入できるかどうかを事前に検討することも大切ですが、導入してみなければデメリットに気づきにくい側面もあり、企業にとっては悩ましい課題といえそうです。

労働環境の変化に伴う心理的負荷

ワーケーションは労働環境、すべての従業員が適応できるわけではありません。周囲がワーケーションに順応したとしても、従来のオフィスワークがしっくり来るという方もいるでしょう。

「周囲がワーケーションになじみ、自分だけがオフィスワークを続けるケース」や「ワーケーションを始めたがかえって仕事がしづらくなってしまったケース」など、従業員のなかには心理的負荷を感じる方もみられます。

ワーケーションは、観光地やリゾート地をはじめとする憧れの場所で働ける方法で、オン・オフの切り替えをいかに上手に行うかが重要であるため、オフの状態のまま仕事に取り組んでしまうと効率が落ちてしまいます。

反対に、ワーケーションにやってきたにもかかわらずオンの状態のまま、常に仕事のことばかりを考えてしまうケースも問題です。せっかくのワーケーションが楽しめない、プライベートの時間がうまく確保できなかったといった心理的負荷も問題です。

導入に一定のコストがかかる

ワーケーションの導入には、環境や通信手段などさまざまな面にかかるコストにも注意が必要です。
従業員に貸し出すためのノートパソコン・Wi-Fi機器・電源タップ・スマートフォンなどは社用として用意しておかなければなりません。

また従業員と企業側の双方で、デバイス・ネットワークにセキュリティ対策を施すことも必要不可欠です。通信品質や万が一のときの連絡手段、安定したネットワーク回線を選ぶなど、導入には一定の時間とコストがかかることを押さえておきましょう。

企業側はワーケーション中の従業員の滞在費や通信費などをどの程度経費とするのか、また労働時間内で労災が起きた場合の範囲を決定する必要があります。
ワーケーションに適した作業環境を用意する場合、就業地域や場所の選定も重要です。

定性的な人事評価が難しくなる

遠隔地でのワーケーション中、従業員の勤怠管理や仕事ぶりの評価が難しくなることもデメリットのひとつといえます。特に人事評価の面で、定性的に個人を評価しづらくなる点については必ず押さえておきたいポイントです。

仕事ぶりが評価できないとどうしても結果や成果が重視されるようになりますが、結果だけを急いで求めるのではなく、自ら積極的に仕事に取り組んでいることを多角的に評価すべきであり、そのための評価システムをあらかじめ検討しておくことが大切です。

ワーケーション中の従業員の行動評価については、目標管理の設定や管理ツールの導入、成果主義だけに陥らないための評価項目の設定を通して、さまざまな角度から判断したいところです。

従業員に対しては、しっかりと仕事に取り組めるように業務内容や進捗状況の把握を自分自身で行えるツールを提供すると、遊びや余暇だけに偏らないワーケーション体制が確立しやすくなります。

ワーケーション浸透への有効な対策

ワーケーションを広く知ってもらうためには、企業側がワーケーションに関する制度を整備し、補助金や助成金の活用、勤怠管理システムの見直しなどを行う必要があります。
それぞれの施策について、具体的な方法をチェックしていきましょう。

企業側の制度の整備

ワーケーション普及のための取り組みとして、企業はワーケーションに必要となる制度の整備を行う必要があります。
たとえば、テレワークを行う従業員に対しての人事評価や労災制度を見直し、社外から情報へアクセスできるようにセキュリティレベルを高めることで、ワーケーションへの準備を行います。

ワーケーション中、滞在を楽しみたい従業員のために業務手続きの電子化も忘れずに行いましょう。
「書類の確認があるので一時的に出社しなければならない」というケースが発生すると、ワーケーションの意義が薄れてしまい満足度も低下してしまいます。

各種申請手続きの電子化を行えば出社の手間が省け、オフィス内での確認作業も簡略化されて、双方にメリットが期待できるでしょう。

・関連記事>>>ワーケーションの意義と国内企業の成功事例をチェック

補助金・助成金の活用

ワーケーションの推進や導入にあたり、企業側にはコストが負担となります。そこで、各地方自治体からの補助金や助成金をぜひ活用しましょう。

一例として、北海道富良野市では令和4年(2022年)について「ワーケーション実証費用助成金」を企業に勤める従業員(帯同する家族は除く)に助成しており、市外からテレワークや研修などのためにワーケーションに来訪した社員に対し、必要事項をすべて満たした場合に規定の助成金が支払われます。

補助金・助成金は企業ではなくワーケーションを行う社員や従業員に支払われるものが多く、宿泊費・移動費・光熱費など支給対象は自治体によって異なります。
企業にとっても経費の削減に繋がるため、負担の軽減を考えている場合は積極的に活用を検討しましょう。

勤怠管理の仕組みの見直し

勤怠管理の仕組みを見直すことも、ワーケーションへの対応に必要不可欠なポイントです。レックスタイム制の導入やコアタイムの見直し、労働時間の管理に勤怠システムを導入するなどの施策で、外でも働けるように時間管理をテレワークに対応させる必要があります。

ワーケーションは自由度の高い働き方ですので、従業員がオフィス以外の場所でも働けるように企業側がワーケーションの重要性や理想的な労働環境を整える必要があります。
労働時間は特に満足度に直結しやすい部分で、すべての労働時間を固定してしまうとワーケーションそのものの質も下がってしまうため、従業員自身が見直すことも有効であることに触れてください。

能登では個人・団体向けのワーケーションをご用意

能登では、個人・団体向けにワーケーションプランを用意しています。個人に対してはワーケーションに使えるコワーキングスペースつきレストハウスを、企業にはワーケーションモニターツアーとして3ヶ所での宿泊・ワーケーション体験を用意しています。

能登エリアの豊かな自然を通して、新しい仕事のかたちを探している方、従業員の満足度向上や新しい福利厚生を検討している企業へ、テレワークから一歩進んだ仕事のかたちを提供しています。能登への移住も含め、ワーケーションをご検討中の方はぜひ「のと住。」へご相談ください。